彼女の懺悔2

375 名前:本当にあった怖い名無し :2006/05/06(土) 21:54:43 ID:C4XiXbN50
あれから、俺は何度死んだんだ・・・?

彼女の死の原因を突き止める日々はまだ続いている・・・
ここまでで解った事は
彼女が俺の初恋の少女だった事
小学校の終わりごろから入退院を繰り返していた事
高校は俺と同じだったが学年が2つ下だった事
そして、いつも俺の事を見続けていた事・・・

「なあ、俺なんかのどこに惹かれたんだ?」
「ちょっ、きゅっ急に変な事訊いてこないでっ!」
「いや、別に変じゃないだろ。ここまで詳しく、過去のこと見せられると・・・なぁ」
「べっ別に好きだから見てたわけじゃないっ。その・・・
 そうっ私の視線の先に、偶然貴方が居る事が多かっただけよ」
「偶然・・・ねぇ。」
「そうよっ、たまたま目に入る事が多かっただけ。それだけなんだからっ」
「まぁ、そういう事にしておくか。」
「そっそれより、どうなのよ?いい加減思い出したの・・・私を殺した事。」
「・・・ごめん。まだ・・・思い出せない。」
「そう・・・。また、やり直しね。」
「ああ。」
以前のように、俺の苦しむ様を喜んで見ている様な素振りはもう見せない。
それどころか、泣いたまま「大丈夫?」なんて訊いてくる事もある。
俺の繰り返す死は、彼女にとっても苦しいものだったようだ。

376 名前:本当にあった怖い名無し :2006/05/06(土) 21:55:35 ID:C4XiXbN50
「なっ、なんでだよっ?」
横から迫って来るヘッドライト
いつもの様に体は硬直し・・・
「ぐっ・・・ううっ・・・うっ・・・」
死から目覚める瞬間の激痛は相変わらず俺を苦しめる。
「ごめんなさい・・・」
彼女の懺悔もまた、繰り返されている。
だがそれも今回で終りのはずだ。
俺が彼女に怨まれていた理由がわかったからだ・・・

彼女は本当に俺に殺されていた・・・

377 名前:本当にあった怖い名無し :2006/05/06(土) 21:56:11 ID:C4XiXbN50
「謝って、許される事じゃないのは・・・分かってる・・・
 本当に悪い事をした・・・ごめん・・・」
「そう、やっと思い出したみたいね・・・」
「ああ、思い出した・・・それで、俺はどうしたら・・・いい?」
「どうしたら・・・って、じゃあ、何でああなったのか教えて」
「ああ、そうだよな・・・まずは、そこから説明しないとな・・・
 俺・・・さ、お前との待ち合わせ場所に向かってたんだ」
「あんな・・・あんな遅くまで、待ってると思ったの?」
「分からない・・・けど、行かなきゃて・・・思って・・・それで・・・」
「それで・・・何?」
「急いで・・・行こうと思って・・・バイクに乗ったんだ・・・
 あんな事になるなら・・・乗らなきゃ・・・良かった」
「へぇ・・・バイク持ってたんだ」
「俺・・・さ、嬉しかったんだ。ラブレターって初めて貰ったから・・・
 でも、ずっと好きな子がいて・・・だから、断ろうって思って・・・
 でもいざとなると・・・勇気が無くて・・・」
「好きな子・・・居たんだ・・・」
「でも、何とか決心して、待ち合わせの場所まで行ったんだ・・・」
「そう・・・だったの。」
「途中、何個目かの交差点で信号に引っかかって、焦ってたから・・・
 信号が変わった瞬間に飛び出しちゃったんだ。
 そしたら・・・横から・・・信号無視の車が来て・・・」
「・・・・・・」
「で、俺は車に吹っ飛ばされて・・・バイクは・・・信号を待ってた・・・
 お前に当たったんだ・・・
 酷いよな。待ち合わせを無視して。挙句、帰り道に事故に巻き込んで・・・
 お前を・・・殺したんだ。」
傍からみれば、俺も被害者なんだろうがそんな事は関係ない。
彼女を裏切り、結果的には殺してしまったのだ・・・。
怨まれて当然だし、許される術など無いだろう。

378 名前:本当にあった怖い名無し :2006/05/06(土) 21:57:04 ID:C4XiXbN50
「そう、本当にやっと思い出してくれたみたいね。それで、これからどうするの?」
「分からない・・・俺は・・・俺はどうしたら良い?」
「そんなの私に聞かないでっ!
 でも、そうね待ち合わせに間に合ってたら、私になんて言ってたの?」
「きっと、・・・好きな子が居るからって断ったよ。でも・・・今は違う」
「でも、今は違う?違うって何よ!」
「あの・・・さ、信じないだろうけど、俺の好きだった子って・・・お前なんだ。」
「ちょっ、それ、嘘でしょ!そんなの誰が信じると思うのっ!」
「だよな・・・でも、本当なんだ。」
「嘘よっ!」
「お前、子供の頃は眼鏡でチビで・・・いっつもムスッとしてて」
「何よっ馬鹿にしてるのっ?」
「でも、俺が馬鹿やったりジョークを言ったりすると、時々笑ってくれて・・・
 その笑顔が可愛くて・・・いつの間にか好きになってた」
「嘘よっ!じゃあ何で今まで気付かなかったのよっ!」
「だって、お前・・・綺麗になってたから。気付けなかった・・・」
「な、何よ・・・そんなお世辞信じないんだからっ」
「お世辞じゃない。だから、お前があの子だって分かった時すごい嬉しかった。
 でも、それ以上に悲しかった・・・」
「そんなの・・・そんなの私だって・・・
 好きだった人から返事も貰えないで・・・事故に巻き込まれてっ!
 悔しかった・・・怨んだわっ!でも、その相手が貴方で・・・」
「うん・・・。ごめん」

379 名前:本当にあった怖い名無し :2006/05/06(土) 21:58:03 ID:C4XiXbN50
「謝らないでっ!私、貴方を何度も殺したのよ・・・数え切れない位・・・何度も・・・」
「それは・・・良いんだ」
「良くないっ!いつも後悔してた・・・戻ってくるたびすごく辛そうで・・・
 でも、また会えたって嬉しくて・・・でも怨みは消えなくて・・・」
「そんなに簡単に消えるもんじゃ無いだろ・・・怨みなんて」
「そう・・・かもね」
「ああ、そうさ。・・・っと、また、始まるな」
「ごめんなさい。私のせいで・・・」
「良いよ。気にしないで。でも、今度会うときは笑顔で迎えて欲しいなっ」
精一杯の空元気で希望を告げてみる
「えっ、笑顔って・・・そんなの・・・」

彼女の声はもう聞こえない。
俺はまた過去に戻ってやり直す。
原因が分かってもこの繰り返しは続く・・・
この繰り返しはいつになったら終わるのか・・・