彼女の誕生日
- 950 名前:本当にあった怖い名無し :2006/04/18(火) 19:06:50 ID:Nxor5hBb0
- バイトの帰りだった。
「お疲れさん。お先にー」
久しぶりにバイトが早く終わった俺は、浮かれがちになりながら
彼女が待つ家に帰ろうとしていた。綺麗にラッピングされた箱を持って。
どれくらい歩いただろう、近いはずの家路が、いつもより長く感じた。
疲れてんだろうか・・・、どんなに歩いても家につかない。
(少し・・・休むか。)俺は道の端にあった見かけないベンチに腰掛けた。
10分くらい経った。大分疲れも取れてきて、走れそうなくらいだった。
(そろそろ行くか・・・待ってるだろうし。)
俺は立とうと足に力を入れた。すると、どうだろう。
見事なまでに体が動かない。これが金縛りなのか・・・?
だんだん意識は遠のき、深い眠気が襲ってきた。
俺がその日見た最後の景色は、とてつもなく眩しいライトの光だった。
- 951 名前:本当にあった怖い名無し :2006/04/18(火) 19:30:58 ID:Nxor5hBb0
- 目が覚めた時に飛び込んできた景色、病室だ。
体は動かない、隣には彼女が居る、俺が持っていた箱も持っている、何故だろう?箱はぐしゃぐしゃだ。
(俺は・・・?)「・・・やっと起きた。」
彼女が俺を見るなり少し怒った目で言い出した。
「何で帰ってこなかったん!?誕生日やろ!?」
彼女は誕生日の日に俺が帰ってこなかったと、言っていた。
だが俺にはあの日、プレゼントを買って、バイト終わって、帰り道・・・
そこまでの記憶しかない。
「何で来てくれなかったん!?」
彼女はかなり怒った雰囲気で話している。
(待てよ・・・?俺は何を・・・?)
俺には何の記憶も無い。「ちょっ・・・ちょい待てよ!俺が何をしたんだ?」
彼女が言うには、俺は帰り道プレゼントの箱を持ったまま、ボーっと道の真ん中にっ立っていたらしい
そしてそこを通ったトラックに撥ねられた。・・・らしい。
だがそれだけではないようだ。
何か言いたげな表情で俺を見つめている。
だが俺が疲れてまで彼女の家に行こうとしていたのに彼女が誤解していたから、
俺は何故か逆ギレしそうな勢いだった、そのときの彼女はかなりウザク感じた。
「何やねんさっきから!?おまぇ・・・寂しかったんかよ?いい年こいてw」
「はぁ?あんたなんか居なくてもいいっつーの」
俺の言ったふざけたような言葉に対し、彼女もまた、キレていた。
というよりも、ムキな感じだった。
「そーか。じゃあ出てけ!」 俺までつられてキレていた。
「言われなくても・・・もう居ないわぁほ・・・」
彼女はかなり涙目で言った。
とてもいつもツンツンしている彼女とは思えないほど声は弱々しかった。
「はぁ!?何あほ言うてんの?居るじゃないけ」
最初はそういっていた俺も、後からだんだん変な雰囲気に気づいた。
彼女の影が無い。それどころかよく見ると少し透けている。