ツンデレカツオ

699 名前:本当にあった怖い名無し :2006/04/10(月) 13:22:39 ID:RU566hPk0
「何よアンタ、さっきからカツオばっかり頼んじゃって。貧乏なの?」
「うーん、まあ確かに貧乏なんだけど……」
「アンタだって、ホントはマグロとかウニとか食べたいんでしょ」

「──俺さ、高知出身なんだ」

「──え?」
「夢見て東京に出てきたけどさ、最近ちょっと疲れちゃって……」
「…………」
「奮発して寿司でもって、お品書きを見たら、懐かしい文字があってさ」
「……ふん、どうせ田舎臭いわよ」
「はは、確かにそうだよな」
「なっ!!」
「向こうにいた頃は、毎日お前らばっかりでさ……」
「…………」
「東京にいったら、腹一杯にマグロを食べてやろうと思ってたのに……」
「……なら頼めばいいじゃない」
「うん──だけど、気が付いたらお前を選んでたんだ。何でだろうな?
「…………」
「あっ、悪い。これからお前を食べようってのに、こんな話しちゃって」
「……べなさいよ」
「え?」
「早く食べなさいって言ってるのよ! 鮮度が落ちちゃうでしょ!!」
「お前……」
「勘違いしないでよ。私はメソメソしている男が嫌いなの!」
「……ありがとう」
「明日っから、頑張るのよ。あと──私、初めてだから、優しく食べてね」
「…………うん、」


「次は何を握りま──あれっ、スイマセンお客さん、薬味多かったですか?」
「……いや、違うんだ。美味しかったよ。──ありがとう」