赤い紙青い紙

580 名前:本当にあった怖い名無し :2006/04/06(木) 21:02:37 ID:D7i4L5ip0
俺が学校のトイレで大きい方をしていたときのことだ
「赤い紙欲しいか〜?青い紙欲しいか〜?」
ああ、あれか。学校の怪談とかでよくある。
まあ悪戯する奴が居ることは別におかしくない。
だおかしいのは、その声は女のものだということ。
「う〜ん、赤……って結構古風なのはいてるな」
「えっ、ちょっ、ばっ、ばか!!何見てるのよ!!」
俺は取り敢えず床に置いた手鏡を引っ込める。
「そんなことより、そういう悪戯は程ほどにしとけよー」
「そんなことって何よ!大体、年上に説教しないで!!」
性格ひねてるな〜。オマケに上級生かよ。たちわりー。
「恐がってンコ出来ない奴かわいそーじゃん。俺は別にいーけどさ」
「……そうね。そうよね。ええ、私が悪かったわよ」
と、戸の上から振って来る赤い何か……紙?
紙には、またもや古風なことに毛筆で「変態」と二文字。本当にひねてる。

俺はその赤い紙、しかも文字の書かかれた方でケツを拭いて外に出た。
不思議なことに、扉が開いた音もしてないのにトイレに女の姿は無かった。

588 名前:580続き :2006/04/06(木) 23:24:11 ID:Q+/2b14v0
今日も放課後の学校のトイレの扉を開く。
昔は怪談なんて流行ったらしいが、今じゃ生徒の喫煙所。
誰も片付けない吸殻をゴミ箱に投げつつ個室に入る。
「あれ?紙無いじゃん」
昨日は有ったぞ?そんな人気のスポットかここ?
「赤い紙欲しいか〜青い紙欲しいか〜」
「ん〜どうしよっかな〜」
ガサガサ
「まあティッシュ持ってるんだけどね」
「……ッ!!何よ、人が親切に」
「じゃあ次からは最初っから補充しといてくれ」
「…………バカぁ」
今日はヤケに気合が足りない。ヤなことでもあっただろうか。
「じゃ、青ちょーだい、青」
「知らない!!」
反応が無いので外に出てみようとする
と思いっきり滑って転んで頭を打った
床には大量にトイレ用洗剤がぶち撒けられてた。しかもちゃんと青いの。
律儀なやつだ。やっぱひねてるけど。

取り敢えずさっさと掃除して俺は家に帰った。

589 名前:ノリで続き :2006/04/06(木) 23:42:07 ID:Q+/2b14v0
殴られた腹が痛い。つーかリバースしそう。
慌てて個室に駆け込んで便器に向かう。発射用意、以下自主規制。
「赤い紙欲しいか〜青い紙欲しいか〜」
「……ん。愛のある言葉が欲しい」
「負け犬」
「うわひど」
まあ一方的に殴られてたのは事実。どこで見てたかは知らないけど。
「……なんでやり返さないの?」
「殴るよりは殴られた方がいいや。俺Mだし」
「変態……」
「ひど」
しばらく女は黙り込んでいる
と、青色の巻紙が投げ込まれた
「それで顔拭きなさいよ。じゃ」
「ん。あんがと」
そういや昔、イジメが原因で飛び降り自殺した女の子が居たらしい。
まあ、どーせ俺には関係ない話。さっさと外に出る。

よく見たらその紙は青色でなく藍色だった。
意外に可愛い奴かもしれない。とびきりひねてるけど。

591 名前:即興で最後 :2006/04/07(金) 00:08:19 ID:l+i1SLPM0
卒業式、この学校ともお別れ。
いい思い出は無いが、思い入れはあった。特にこのトイレ。
「行かないの?皆写真取ってるわよ?」
そういやこいつ年上って言ってたよな。まさかダブリか?
「いつものやつ、やんないの?」
「飽きちゃった。アンタじゃ張り合い無いもん」
「そうだよな〜。毎回同じ下着だと俺も飽k」
上からバケツが降ってくる。金属製の。
「死んじゃえ」
「死なないよ。アンタに会えなくなるじゃん」
まあ顔を会わせたことは無いが
「……もう会えないわよ」
「会いに行くって。どうせいつもここでしょ?」
扉越し数十センチ。開ければ消える遠い数十センチ。
最初のときに比べてほんの少し、距離は縮まった気がする。
「最後にアレやってよ。いつもの」
「……コホン」
女は丁寧に咳払いして、いつもの不気味な調子で言った
「赤い紙欲しいか〜青い紙欲しいか〜」

「……お前が欲しい、なんてな」

しばし無反応。
と、窓から入ってくる桜の花びらに混じって桃色の紙が一枚。
見てみると、「バカ」なんて書かれた紙だった。
ほんと、ひねたやつだ。

紙は可愛気のあるハート型に切り抜かれていた。