In the Bastogne.1944

351 名前:In the Bastogne.1944 1/2 :2006/03/30(木) 23:58:46 ID:FM5JNmiH0
バストーニュの森のどこか。狭苦しいたこつぼの中で。
しんしんと降る雪で、全ての音が亡くなったかと思える所で起こったお話。

「やぁ軍曹、今日もたるんどるな」
「…少尉。先日死んだんじゃなかったんですか?」
「あぁ、まああの糞クラウトの連中が迫撃砲をぶっ放しおってな」
「はぁ。豆鉄砲じゃ死なないんじゃなかったんですか?」
「バカモン。クラウトの豆鉄砲じゃ死ななかったろうが。迫撃砲だ!」
「はぁ。さしたる違いも無い気がしますが。」
「貴様はそういう所がなっとらんのだ。その違いが分からんとはとんだ間抜けだな。」
「いやまぁそうかも知れませんが。なんでまた戻ってきたんですか?」
「む?まぁそれはだな…貴様らが残り少ない命にすがってヒィヒィ言ってる姿をあざ笑いに来たに
 決まっとろうが!」
「はぁ、少尉も暇なんですねぇ。」
「ふん、どうとでも言え。お前らが砲撃の下で這々の体で逃げ回る姿を後ろから鼻糞ほじくりながら
 見てやるからな。情けない連中どもめ。」

---------Artillery! Incoming!!!!!!
----Cover!!! Move!! Move!!!!!
------Go to the Foxhole!!!hastle up!!!!!

352 名前:In the Bastogne.1944 1/2 :2006/03/30(木) 23:59:46 ID:FM5JNmiH0
「っと、アホども撃ってきやがったな、隠れますよ!あわわわわ…」
「はっ、無様にケツまくって逃げ回っとるな…と、おい軍曹、そっちは多分次に砲弾が落ちてくるぞ…
 こら軍曹、そっちへ行くな。あー軍曹、BARを落としたぞ。さっさと拾わんか。あ、まずいまずい
 そろそろ次のが落ちてくる、あっちのたこつぼへ入れ。さっさと走らんか鈍足め。あー、やっぱり
 そっちはだめだ、狙撃兵が狙っとるぞ。こっちだ、こっち。あ、あっちで二等兵が困っとるぞさっさと
 助けにいかんかほら。あ、ほらほらヘルメットを忘れてるぞ」

「…結局何しに来たんですか?」
「んー、さっき言っただろう。お前らの醜態をあざ笑いに来たんだ。」
「その割には色々と助言していただいたみたいですが…ありがとうございます」
「む、むぅ……ハン!お前らみたいなケツの青い連中をほっといたら祖国が負ける事になるからな。
 我が国の為にアホどものケツを蹴り上げにきただけだ。」
「…結局助けに戻って来てくれた訳ですね、ありがとうございます。」
「ふん!祖国アメリカのためよ!貴様の様な鈍足が我が愛する陸軍に居ることすら
 俺には気に食わんのだからな!ほんとだぞ!」
「はいはい。そういう事にしときます」
「なっ…貴様、上官に対する敬意がなっとらん!貴様、一度再訓練所にいって…」

戦いは変わらなかったけれど、すこし、賑やかになったたこつぼの中であった。

バストーニュの戦いに於いて、アメリカ軍死傷者、MIA、POWはあわせて75000人もの数に上る。
戦いは激しかったが、誰一人救援が必要だと感じてはいなかった。皆、勇気を持って戦った。

おしまい。

353 名前:本当にあった怖い名無し :2006/03/31(金) 00:00:24 ID:FM5JNmiH0
あほです。>>352は2/2です。