うらめしやー♪

223 名前:本当にあった怖い名無し :2006/03/26(日) 08:47:45 ID:5EBLwZz/O
「早く歩いてよぉ、このバカッ!!」
「ワリー、ワリー、っつかそんな急ぐ必要ないだろうよ」
  今、僕には好きな人がいる。僕にとっては完璧な人。ただ…一つを除いては…
出会いは唐突だった。僕の部屋にいきなり彼女が現れ、こう言ったんだ。
「うらめしやー♪」
僕は昔から霊的な事に関してはまったく恐怖を感じた事が無かった。ホラー映画だろうが心霊スポットだろうが別になにも感じた事は無い。前に実家に出たジジイの霊をシカトしたくらいだ。
だからこんな陽気な声をだす変な女にビビるはずもなかった。だから一言だけ…「…で?」

224 名前:本当にあった怖い名無し :2006/03/26(日) 08:48:34 ID:5EBLwZz/O
すると彼女は顔を真っ赤にして怒った
「ハァ!?なにソレ!?もっと驚きなさいよっっ!!」
もっともな話だがいきなりキレられる覚えもない…
「オイオイ、逆ギレかよ…?」
「ウルサイわね!!アンタごときがワタシと会話してんじゃないわよっ!!」   もう訳がわからない
「あっそ、じゃあもう寝るわ」 言葉の通り、僕は布団に入り目を閉じた。  朝になれば消えるだろ…と思いながら…
目を閉じて3、40分はたっただろうか、突然彼女が口を開く。


225 名前:本当にあった怖い名無し :2006/03/26(日) 08:49:22 ID:5EBLwZz/O
「ねぇ?ホントは寝てないんでしょ?ワタシもちょっとだけヒマだから話してあげてもいいわよ?」
「……。」  僕は寝たふりをしていた。すると…
ガンガン!ドン!ガシャーン!!
部屋の物が四方八方に飛びだした。
「ちょっとだけヒマだって言ってるじゃない…起きなさいよ…」
「わ、わかったよ!起きるよ!!」  そう言って起き上がるとポルターガイストはおさまった。
「最初からそう言いなさいよ、メンドクサイ男ねっ」  ひどい言い草だ…
その後どのくらい話しただろうか…正直僕は、睡魔に耐えるのに必死でその時の会話をほとんど覚えていない。その中で覚えてる、というか印象に残っている会話は…
「なんでアンタ普通にワタシと接してるの?ワタシがどういう存在かはわかってるでしょ…?」
「存在もクソも俺の目には普通の人間と変わらなくうつってる、だから普通に接してるだけだよ」

226 名前:本当にあった怖い名無し :2006/03/26(日) 08:50:07 ID:5EBLwZz/O
彼女の頬が一瞬だけ赤く染り、微笑んだ気がした。あとはその夜の記憶はない

その日から彼女は僕の部屋に居ついた。だんだん僕はそれが、彼女がいる事が普通になっていった。窓が開いてれば閉めてくれるし、寝ようとすれば灯りを消してくれた。
そんなさりげない優しさに僕はひかれていった…
彼女がそういう優しさを見せると僕は必ず「サンキュー」や「ありがと」と、お礼を言う。  すると彼女は決まってこう言う
「べ、別にアンタのタメじゃないしっ!!」 …といいつついつも頬が赤い。
そんな素直じゃない彼女にもひかれていった…
そのうち彼女は僕はが外出する時もついてくるようになった。


227 名前:本当にあった怖い名無し :2006/03/26(日) 08:50:59 ID:5EBLwZz/O
彼女が言うには「たまたま行きたいトコが同じだけ」、だそうだ。
言うまでもなく僕はこの頃にはもう彼女が好きだったので一緒にどこかへ行くのは幸福だった。
当然、道行く他の人々には彼女は見えないので一人でヘラヘラ歩いてる僕はさぞ不気味に見えてるだろう。しかも独り言のオマケ付きだ…でも僕は幸せだった。

そして今もその幸せは続いている。
もちろん今日も二人でお出かけだ。

「早く歩いてよぉ、このバカッ!!」
「ワリー、ワリー、っつかそんな急ぐ必要ないだろうよ」
  今、僕には好きな人がいる。僕にとっては完璧な人。ただ…一つ、霊であるという事を除いては…