約束の指輪

626 名前:本当にあった怖い名無し :2006/02/28(火) 02:47:51 ID:qvICGrtI0
一年ぶりに訪れたそこは、まるで事故などなかったかのように
すっかり綺麗に修繕されていた
ガードレールに腰掛けて、タバコをふかせる

「久しぶりね」

どこかで聞いたような懐かしい声
まさかと思いつつ、しかし振り向いてしまえばすべてなかったことになってしまいそうで、
身体は凍りついたように動かない

「今日はお前に渡すものがあるんだ」

そう言って懐から取り出したのは、一年前に渡せなかったあの指輪

「約束の指輪だよ」
「……指輪? なにそれ」
「なにそれって……約束したじゃないか」
「なに言ってるかわかんないんだけど」
「だからお前が欲しがってたやつだよ」
「知らない、誰かと間違えてんじゃないの、っていうか誰と間違えてんの?」
「なに言ってんだよ沙希!」
「沙希って誰よ! 祐一、あんた他に女がいたの!」
「なっ、お前こそ祐一って誰だよ!」

とうとう我慢できなくなって振り向いた俺の目の前には……

「…………」
「…………」
「えっと、ウ、ウラメシヤ〜……みたいな?」

指輪を沙希に、花束は彼女に供え、俺は帰途についた