自傷癖
- 599 名前:2-1 :2006/02/26(日) 09:07:57 ID:OKLjIQ2w0
- 「・・・また血が流れてるね」
「そうね」
あたしには自傷癖があった。自分を傷つけて血を流し、安心する。
痛みと恐怖が、安心になった。
そして、またあいつが現れる。悪霊ってやつだろう。
あたしが傷をつけ、血を流すと現れる。
「舐めてほしい?」
同年代の女。いつもあたしを見下すような目をしていた。流れる血を
舐める。傷にkissをする。
「好きにすれば」
「ふん・・・・ちゅ・・・・」
「んっ・・・・・」
誰もいない部屋。誰からも愛されず必要とされないあたし。
流れる赤い血に舌をのばし、傷に唇を這わすこいつは私の死神か。
「甘い」
「・・・・そう?」
「血は・・・止まったわ」
「・・・・そう」
- 600 名前:2-2 :2006/02/26(日) 09:08:30 ID:OKLjIQ2w0
- ワンルームの狭い部屋の中、沈黙だけが漂う。
屈み込んだまま、あたしを見つめる・・・悪霊。
その顔に表情はなく、唇には血がついている。
「血は、とまったわ」
「・・・ふん。あ、ありがとうとでもいわれたいの?」
「いいたいの?」
白い肌、青みががった瞳。胸元にあるその顔は日本人とは思えず、
あたしから見ても美しい。
「・・・いわない」
「そう」
そのまま、あたしたちは何もいわず見つめあった。
本当は知っている。こいつあたしが、傷をつけると現れる。
血を流すと現れる。血を止め、痛みがひくまで消えないって事を。
「何考えてるか、あてようか?」
青みがかった瞳が、あたしの心の奥まで見透かすように輝いた。
「・・・いい」
「そう?」
あたしはきっとまた自傷する。こいつが・・・現れるから