座敷ワラシ

551 名前:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/02/24(金) 10:49:04 ID:uM1B4Ejg0
「でれれれ、つーん!!」
家のドアを開くとと俺んちにいすわる座敷ワラシが大はしゃぎしていた。
「…」俺は開けたドアをそのまま閉める。

1…2……5………10。きっかり10秒数えてもう一度ドアを開ける。
何事もなかったかのように座敷ワラシは居間でお茶をすすっていた。
俺も何事もなかったかのように自分のデスクにすわり、パソコンを開く。
ログが残っていた。…ああ、>>545を読んだな。

ず、ずずずずずずず。お茶をすする音が大きくなる。
「…きにいったの?」聞いてみる。
「…」スルーされた。相変わらずつんとしやがって。そこでひらめいた。この計画をやってみよう。
俺はほくそ笑みながら次の日を待った。

552 名前:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/02/24(金) 10:51:10 ID:uM1B4Ejg0
翌日。
仕事から帰る。今日は先にインターホンを鳴らしてやった。
ドアを開ける。座敷ワラシは俺がもらったバレンタインチョコレートを食べていた。まぁ、俺は甘いの苦手だからいいんだけど。
今日もとりあえず、声をかけてみる。
「おいしい?」もちろん答えはない。俺は机の横のビデオカメラからビデオをとりだし、居間のテレビで再生した。


―でれれれれ、つーん!!
―GJ!!


そこには俺が見たことのない座敷ワラシのはしゃぎっぷりが映っていた。
「…楽しそうだな…うぶっ!?」言い終わらないうちに座布団をぶつけられた。
「や、やめ、おぶっぶ、ぶぶっ!?」座布団、チョコレートの包み、湯のみ、トドメはいすだった。
意識が遠のく中、最後に聞いた音は…ぱたぱたぱた、ぎぃ、ばたん。座敷ワラシの出て行った足音だった。

それから、3週間後。怒涛の日々が過ぎた。会社は倒産し、親戚の借金をひっかぶされ、借金取りが大挙する毎日。
おれも、限界でそろそろ首を吊ろうかと思っていた。

首に縄を通し、さようならと一人ごちる。…いすを蹴った。はかない一生だったなぁ

ぷつっ、っと縄が切れた。どしん。…あはは…死ねんかった。
死ななかったことの安堵とこれからの未来を考えると涙が止まらなかった。うつむいて嗚咽を漏らす。
ふ…と、目の前にハンカチが差し出されていた。座敷ワラシがいた。

「あんたのために、戻って来たんじゃないんだから。パソコンが見たかっただけなんだから」
ぷいと、座敷ワラシはそっぽを向く。

それから、急に俺の運気は好転した。借金は祖父の遺産から支払われ、大手企業に再就職が決定した。
俺は、その日から、会社に行く前にパソコンの前にケーキとお茶を準備して出かけるようになった。

教訓:あまり人のプライバシーをのぞくのはやめましょう。