俺と守護霊の微妙な一日
- 238 名前:帰ってきたツンデレ初心者‐revenge‐ :2006/02/18(土) 21:31:07 ID:X/ALyOec0
- 俺には守護霊がいる。困ったことに、俺に話しかけてくる。 しかも、そいつは…おかっぱでいたずら好きの12歳の女の子だったのだ。
「俺と守護霊の微妙な一日」
5時14分。
線香のにおいとラジオ体操のミュージックででおきた。 目を開けると、守護霊が自分で線香をたいて、ラジオ体操をしている。
いつものことだ。寝なおす。
6時00分。
すずめの鳴き声がする。また、えさをやっているのだろう。ふんの掃除を誰がすると思ってるんだ。
7時42分。
時計をみて…飛び起きた。遅刻だ!! 守護霊はいない。
「ちっくしょー、なんでおこさねぇんだ!!」 「うるさい。近所迷惑だ。静にしろ」リビングから、みのもんたの声と一緒に聞こえた。…朝ズバ…か。
8時00分。
走ればまだ間に合う。俺はパンをくわえて、走り出した。 ズシッとした重みがあった。奴が乗ってきたのだ。
「お前、宙にうかべるんだろ、何で体重かけてんだ」「獅子はわが子を千尋の谷につきおとすという」
…もういい。かまわず走る。
8時15分。
無常にも電車は行ってしまった。
「…」「ふむ。鍛錬がたらんな」もう、声もでない。
9時23分。
上司にしかられた。守護霊は俺のお茶をすすっている。
10時45分。
書類に奴がコーヒーをこぼした。奴の姿は見えない。…泣けてきた。
13時45分。
ちょっと用を足しにトイレに。奴もきっちりついてきた。
「ここは男子トイレだ」「知ってる」「帰れ」「守護霊は離れられんのだ」
こいっつ…。おれが用を足してる横で、ひゃぁ…だの、うわ…だの、小さいだの…。
目を覆う振りをして、ちゃっかり指が開いてる。ちょっと泣けてきました。
- 239 名前:帰ってきたツンデレ初心者‐revenge‐ :2006/02/18(土) 21:33:28 ID:X/ALyOec0
- 15時42分。
事務の女性社員が俺を夕飯に誘ってきた。いきなり、俺のベルトが切れてズボンが落ちた。
女性社員は逃げてった。…死にたい。
17時00分。
定時に仕事が終わる。くたくただった。電車は満員だった。奴は俺の頭の上に座ってる。体重はかけてないがうざい。
なんだろう、民謡だろうか…誰かのヘッドフォンから、かすかに音楽が聞こえる。
守護霊がいきなり、踊りだした。勘弁してくれ。頭の上でターンをした。
俺はバランスを崩して目の前のケバイお姉さんに、ぶつかった。
「ちかーん!!」おいおい。運よく、扉が開き、走って逃げた。
18時00分。
夜の公園。
「すまん。つい」「…」「許してくれんかの?」「…」「なぁ、明日は朝起こしてあげるから」「…」
俺は怒りが収まらなかった。当分、あの電車は乗れないだろう。
「なぁ、許し…」
「うるさいっ!! お前なんかどっか行っちまえ」顔も見ずに言う。
「ひっ」俺の声に驚いたのか、短い声を上げて、守護霊の気配が遠のいた。振り向くと奴の姿は見えない。
せいせいした。肩のコリがなくなったようだ。
…うん。せいせいした。「せいせいしたぞーーーー!!」大声で叫んだ。
「うるさい!!」ちょっと怖めのあんちゃんにどなられた。
- 240 名前:帰ってきたツンデレ初心者‐revenge‐ :2006/02/18(土) 21:34:09 ID:X/ALyOec0
- 18時26分。
石に躓いた。派手に転倒。いたい。
18時42分。
財布を落とす。
18時56分。
会社から呼び出し。戻る。
22時40分。
帰宅途中、やくざに絡まれる…。
ほうほうの体で逃げ出した。…なんだこりゃ。守護霊の大切さを実感し始める。
23時52分。
コンビニで万引きと間違えらる。これが、とどめであってくれ…。
01時23分。
無事釈放され家に到着。…味噌汁のにおい?
テーブルには、味噌汁とご飯と秋刀魚が並び、湯気がたっていた。…そして…書置き。
『ごめんなさい』文字がにじんでいる。
02時12分。
俺のベッドで守護霊が寝てた。枕が涙でぬれてる。
…ま、許してやるか。
涙をそっとふいてあげて、俺は床で寝た。
08時42分。
…遅刻。奴はよだれをたらして寝ている。
…はぁ…
まぁ、それでも、こいつがいてくれるほうがましか。
おれは守護霊のぷにぷにしたホッペにひげを書いて家を出た。
…いたずら書きに気づいた守護霊がどんな仕返しをしてくるか…考えたら、ちょっと口もとがほころんだ。
‐おわり‐