ベッドの下

285 名前:本当にあった怖い名無し :2005/12/06(火) 05:52:54 ID:dvJaSdjp0
俺のアパートで久しぶりにツレと飲もうって話になった。
お互い仕事は忙しい割に、金はない。
結局宅飲みって訳になる。
しかしそれはそれで楽しく、気付けばもう二時を過ぎていた。
早い時間から散々飲んでへべれけだから、早めに休もうと布団を並べた。
俺はベッド、ツレは床に敷いた押入れでかび臭くなった布団。
そこんとこは我慢してもらう。

するとツレは急に「俺、飲み足りねーから、ビール!ビール買いにいくべ!」
そんなことを言い出す。
俺は「冷蔵庫に淡麗あるじゃん。飲めよ」といってもエビスじゃないと嫌だとか言い出す。
お前今までエビスなんて飲んだことあったっけ?
強引にベッドから引きずり下ろされたが、俺は外に出る気なんてなかった。
強情な俺に根負けして、結局ツレは外に出て行った。
多分戻ってこないだろう。
俺んちに泊まる予定だったのに荷物まで持っていったから。

286 名前:本当にあった怖い名無し :2005/12/06(火) 05:53:18 ID:dvJaSdjp0
俺は酒臭いため息を吐くと、ベッドの下を覗いた。
そこには大きな包丁を持った女が居た。
恨みがましい目で俺を見てくる。
「・・・お前、そこ狭いから出て来いよ」
「!!っ!」
俺に話しかけられたのが相当驚いたのか、ベッドに頭をぶつける女。
「おい、痛かったろ、いいから出て来いって」
女はぶつけた頭をさすりながらなにやらぶつぶつ言ってる。
「べ、べつに・・・あんたに言われたから出てきた訳じゃないからねっ!」
俺は無言で女の頭をさする。
「キャッ!さっさっさわんないでよッバカッ!!」
真っ赤になりながら包丁を振り回す。
「タッチセラピーっていいんだぞ。痛いの痛いのとんでけーって」
女は大きな瞳をまんまるくして、「ホントだ、痛くない・・・」
そんなことを言った後に急にまた真っ赤になって「き、気安く触んないでよっ!!」と
可愛らしい声で怒鳴る。

287 名前:本当にあった怖い名無し :2005/12/06(火) 05:53:39 ID:dvJaSdjp0
なんだかまた酒が飲みたくなって冷蔵庫から淡麗を取り出し、飲みなおすことにした。
そしたら女はおもむろに立ち上がり、大きい包丁を振り回しながら、
冷蔵庫の残りモンでつまみを作ってくれた。

家庭的な味付けのそれは、早くに死んだ母ちゃんを思い出させた。
なんだか切なくなって、つい涙声になっちまった。
「ずっと・・・居てくれたらいいのに」
そんな言葉もポロッとでちまった。
女は台所で俺を振り返り、
「バッバカ!ずっと居たのに・・・じゃなくて、えっと、地縛霊なんだからずっとここにいるにきまってんでしょ!
で、でもあんたと一緒に居たいとかじゃないからね!!!勘違いしないでよね!」

思わず抱きしめたくなった。