拾い物

494 名前:@ :2006/05/12(金) 12:18:36 ID:rynGN27b0
只今、肝だめし開催中。場所は、出ると噂の旧校舎。
通常、男女ペアで行うのだが、僕はくじであぶれたために
一人で長く暗い廊下を歩いてた。
まあ、僕は、幽霊なんて信じていないから平気だけどね。
 コースも中盤にさしかかったところ、突然目の前に女の子が現れた。
年は十代後半位、シャギーの入ったボブカットの似合うなかなかに可愛い女の子だ。
問題は、その全身が透けていること。残念ながら、服だけじゃない。
・・・・・でやがった。

495 名前:A :2006/05/12(金) 12:19:28 ID:rynGN27b0
「きゃーーーーーー!!!」
女の子の霊が悲鳴を上げる。・・え?そっちが?
「ちょっと、驚かせないでよ!」
「いや、それ、こっちの台詞だし。つか、幽霊の癖に悲鳴上げんなよ・・」
「ひ、悲鳴なんて上げてないわよ!ちょ、ちょっと驚いただけじゃない!」
そして、「はぁ」と息を吐いて、女の子は落ち着かせるように、胸に手を当てる。
いや、お前心臓止まってるだろ。
ようやく、落ち着いたのか、女の子が顔を上げる。
「そういえば、あんたは驚かないのね?あたし幽霊だよ?」
そういわれても、目の前にいるのは、透けているところを除けば、ただの可愛い女の子にしか
見えない。ちっとも怖くなんか無かった。
それを、そのまま伝えると、「な、何よ、それ!あたしは、怖い幽霊なんだから!
呪ったりするんだから!」と、取り乱したように大声を出す。
よくわからないが、僕は無害であると判断し、関わるのも面倒なので、先に進むことにする。
女の子の横を通り過ぎようとしたとき、『クンっ』と体を引っ張られる。
見ると、女の子が、そっぽを向きながら僕の服のすそをつかんでいる。
「・・・・・」
とりあえず、無視して先に進んでみる。女の子はあたりをきょろきょろ見回しながら、
すそをつかんだまま、とてとてとついてくる。
(なんだかなぁ・・・)

496 名前:B :2006/05/12(金) 12:20:13 ID:rynGN27b0
その時、遠くのほうで『ガシャン!』と音がする。先に行った誰かが、
何かを倒したかしたのだろう。
「ひうっ!!」
小さく悲鳴を上げ、びくっとた女の子が、僕の腕にしがみついてくる。
「・・・・もしかして、怖いの?」
「ち、ちがっ!な、何ゆってんのよ!」
思い付きだったのが、図星らしい。幽霊の癖に、暗闇が怖いとはね。
「じゃあ、何で僕の腕にしがみついてるの?」
「そ、それは・・・そ、そう!あんたにとり憑いたのよ。ほ、ほら、あたし幽霊だしっ」
「ふーん」
「な、なによぅ」
別に、とだけ言って、僕は再び先に進んだ。

497 名前:C :2006/05/12(金) 12:21:06 ID:rynGN27b0
しばらくして、僕は足を止める。
「むぎゅっ」と、彼女が僕の背中に追突する。
「何よ、急に止まらないで・・・」
そこには、校舎の出口。僕は、彼女の手を裾からはずした。
とたん、彼女は、まるで捨てられた子犬のような顔をした。
「はあ」とため息をひとつ。それから、裾からはずした手をつなぐ。
「うちに来る?ここよりは、明るいよ?」
「な、何よそれ!調子に乗らないでよ!なんで、あたしがあんたのとこなんか・・・」
言いながらも、つないだ手をほどこうとはしない。
「僕にとり憑いたんだろ?」
「・・・・・・・・・・・・・・ぅん」
 こうして、ぼくはへんな拾い物をしてしまった。