トイレの花子さん

301 名前:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/03/29(水) 13:51:25 ID:WPZc8FJq0

僕は学校にいくのがつらい。
父の仕事の関係でここH県に越してきたのは小学校2年の3学期。
それまでは東京に暮らしていた。
東京育ちはそれだけでイジメの対象になる。
それにつけて僕は女の子みたいな顔立ちだったからなおさらだ。

だから、休み時間の間は僕は男の子たちからちょっかいをかけられる。
悪いことに、女の子たちが僕をかばってくれる。それが男の子たちはますます気に入らない。
いつしか、僕は休み時間に隠れてしまうことが日課になった。

僕が通う小学校はいまどき珍しい木造立て。歴史もすごくあるらしい。
最初は体育館の倉庫や、校庭の裏とかに隠れていたんだけど、子供ってのは見つけるのがうまい。
見つかってはちょっかいをかけられる。

それで僕が目をつけたのは、先生たちが使う教職員用トイレだ。それも女性用。
これなら、男の子たちは見つけにくいだろう。
それに、ここはなぜか先生もなかなか使わない。
僕はここで本を読みながら休み時間をつぶすことにした。

302 名前:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/03/29(水) 13:52:57 ID:WPZc8FJq0

この学校、木造立てなのにトイレは水洗でさらには洋式。
僕は便座に腰掛けて本を読む。
もちろん、ズボンは下ろさない。休憩するだけなんだから。
読んでる本は、江戸川乱歩とかエラリークインとか推理小説だ。
同級生はいまだに「怪傑ゾロリ」とか読んでる。もうすぐ3年生なのに幼稚だよなぁ。
「うわ、このトリックすごいなぁ」僕は推理小説の結末にいたり、そのトリックのみごとさについ、口をついた。
「ふぅん、面白いのそんなの」「っ!」どこからか声がした。
僕はあせった。見つかったことにも驚いたし、なんてったってここ、女トイレなんだから。
僕はどこからのぞかれているのかわからず、きょろきょろした。

「ここよ、こ・こ」声につられて視線を下にうつす。
便座からにゅぅっと手が伸びて僕の足をたたいた。
「っっっっっっっ!?」僕は叫びそうになるのを必死でこらえた。叫んだら外に声が漏れてしまう。

…状況的に考えればそんな余裕なんてないのにね。

「あらあら、かわいい顔」ひょっこりと僕のまたの間からおかっぱの女の子が顔をのぞかせた。
「よいっしょっと」女の子は掛け声とともに、僕の両足に手をかけ、自分の体を引き上げた。
「!?」あわわわわ…と意識はおののいているのに口がパクパクしてるだけ。
「あらぁ、男の癖に女トイレでのんびりしてるから、肝っ玉が据わってると思ったのに」
僕は男の癖にって言葉に反応した。いじめられる時、よく「おんな男」っていわれるからなんだけど。
「な、なんだよお前!!」小さな声で叫ぶ。我ながら器用なことだ。
「ふん、あんたなんかに名乗る名前はないけど、人は花子さんって呼ぶわ」…名乗ってるじゃない。
いやいやいや、というか、お化けだ!?
僕は「う、うわっむぐっぐぐぅ」

叫ぼうとして花子さんに口を封じられた。
「こらこら、ばれるよぉ」にやぁっと薄い笑みで僕の顔を覗き込む。う、ちくしょうっ!
「別にとって食おうってわけじゃないんだから。叫ばないって約束するならうなずくのよ」僕はこくこくこくと3回。
「ふふ、素直じゃない」と手を離す。その隙に「うわぅっむぐむぐ」叫ぼうとして、また口を封じられた。
「あんたの考えなんてお見通しなんだから」ぽかりと頭をやられる。僕はようやく観念した。

303 名前:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/03/29(水) 13:55:02 ID:WPZc8FJq0

「で、僕に何をするつもりなの」「ふっふっふ。とりついちゃおうとおもって」
「い、いやだ」
「ふん、なによ、友達いなんでしょ」「う」
「ほら、ごらんなさい」そういって偉そうに腕を組む。
「で、でもとりつくのと友達は大違いだい!!」ごすっと音がして同時に僕の目からは火花が出た…気がした。
「ず、頭突きなんてひどいじゃないか」「男のくせにちゃぁちゃぁいうからよ!!」今度は僕が花子さんの口をふさぐ番だった。
「わ、わかったよ」「へへーん、契約成立っと」そういいながら、僕の顔にぐっと顔を近づけてにっと笑った。
(あ、か、かわいいかも)僕のまたの間からにゅっと突き出した少女。顔は間近で吐息が顔にかかる。
ふと、花子さんが顔をしかめた。「? どうしたの」
「あなた、ちょっと息くさい」前言撤回。やっぱかわいくない。

きーんこーん、かーんこーん

チャイムが鳴る。僕は花子さんを置き去りにあわててトイレから飛び出した。

あ、本忘れちゃった…でも、ま、いっか。
僕は授業にもどった。

放課後トイレに本を取りに戻ると、僕の本がびしょびしょになってた。
「あ、あんたがいきなり入ってくるから落としちゃったじゃない。あ、あんたが悪いのよ」と花子さんは便器の中にこもってしまった。
僕はぐしょぐしょの本を手に取り、ページを開いた。
するとしおりが、僕のと違う場所にはさんであった。
「ふーん」僕はぬれた本を持ってうちに帰った。

同じ本、実はもう一冊あるんだよね。明日、もってってあーげよっと。

ちょっと学校に行くのが楽しくなった

−END−