クズ

625 名前:何が書きたかったのか自分でもわからねぇ 1/1 :2006/02/28(火) 01:46:27 ID:1scErAP00

 …『クズ』って言われてるようなヤツは、大きく分けて二種類。
 身分や出身で差別される、なす術のないやつと。 やることなすこと全て、どうしようもないやつと。
 ――――――――俺はその、典型的な後者だった。

 頭が良いってわけじゃない。 運動だってうまくもない。
 顔だって良くもない。 性格がいいとは到底思えない。
 ……努力さえ、したことがない。 まさに、クズそのものだ。

 そんなヤツが周りから疎まれるのは、もちろん当然。
 このたび、もう愛想つかされ、一人暮らしはじめましたー、ってトコだ。
「っはは、はは、はははははは」
 自分があまりに滑稽で、笑いが止まらない。

 ああ、ほんと。 何から何まで、もう面倒だ。
 メシも、最後に、いつ、なにを食ったのか。 それすら思い出せない。
 ……夢でも、見よう。 起きた時には、何もかも終わっていればいい。 ベッドに倒れこむ。


「…寝れない」
 さっきから、壁からバシバシと音が鳴っている。
「ほっといてくれよ。 俺を苦しめて、楽しいか?」
 壁に向けて、かすれた声で呟いた。 …無意味だって、自分でも分かってる。
 どうせ鳴り止まない。 俺が寝ようとすると、すぐこれだ。

 何ひとつ、することがない。
 …だから、少しでも渇きを潤すために水を飲む。
 ベッドに倒れこむと、また壁が鳴きはじめた。

「……どうしようもないようなヤツを、生かすなよ。 これじゃ、死ねねぇじゃねぇかよ。
  生きてることが、どうしようもなく苦しいんだよ。 …おまえには、分からないかも知れないけどな」
 ―――――壁に向けて。 かすれた声で、呟いた。