私とバンパイア

468 名前:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/02/21(火) 12:58:49 ID:YEg3qlJf0
「わははは、我輩はノーライフキング・バンパイアである。下々のものよ、ひざまづけぃ!!」

私のお家にやってきたのはなんか、奇妙奇天烈なちっちゃな嬢ちゃんだった。

「私とバンパイア」

「血をさしだせぃ」「いやです」即答。
「…」無言で、私にに近づいて来て…背伸び…、ぽっと頬を赤らめて、机に向かった。
「…」いすを持ってきて、その上にのって、また背伸び。…パン!! 顔を張られた。
「無礼者、主君を見下ろすでない!!」いつから、私はあなたの配下なんですか。頬を押さえる。
「…反抗的な目!」また、手を振り上げた。…さっと後ろに身をひく。…ずでん。落ちた。
「むぐぅ…う」頭から落ちたらしく、悶絶してる。とりあえず、ふんじばる。ミノ虫状態で、ばたばた。
「くぅ、こんなことしてただで済むとおもうのか!?」あら、まだ強気だ。おでこがすりむけて真っ赤になってる。
私は、その場を離れ、階下に下りた。遠くでじょうちゃんがほえている。
「な、何をする気だ、は、も、もしかして、わしの色香にまよって…」元気なやつだなぁ…。



469 名前:たまねぎツンデレ ◆vSaTtgGg0. :2006/02/21(火) 13:00:53 ID:YEg3qlJf0
私は小箱をもってもとの部屋にもどった。小箱の正体がわからず、嬢ちゃんは怯えた目線を向ける。
ああ、なるほど、こういう目線に犯罪者は興奮するのか。ちょっと危険な思考。

「そら、顔をみせてみなさい」「ひ、ひぃ、変態」ぎゅっと堅く目をつぶってしまった。
私はかまわず、小箱をあけて…ぺた。ぺた。

「…、…?」嬢ちゃんは何が起こったかよくわからない顔していた。私は鏡をもってきて見せてあげた。
「はい。ばんそーこ」「な、なんで、ばってんでつけておるのじゃ?」おでこにばってんのばんそーこ。

「ん、なんとなく」それから、自分の懐をまさぐる。
「じゅ、銃はきかんぞ」ここは日本だ。はい、と目の前に缶とバラの花を置く。
「血はあげれんが、トマトジュースだ。それとバラからも栄養とれるんだったな」
嬢ちゃんは目をぱちくりさせる。

私は彼女をミノ虫状態のままいすに座らせる。かまれるのはいやだからな。
…こくっ、こくっ、こくっ…
喉がよほど渇いていたんだろう。一息で飲み干してしまった。
バラの花弁を口元に添えてあげると、すぅっと息を吸うようにした。バラの花弁がさらりとくずれた。
「…」嬢ちゃんは黙っている。私はそれから嬢ちゃんの戒めを解いてやった。

「ワシを、なめておるのか。次は血を食らうぞ」目いっぱいすごんでいる。…が、ばってんのばんそーこがしまらない。
鏡を見せた。「その仕草、ちょっとかわいいな。私の甥っ子みたいだ」つい、口をついた。
「ば、ばかもの! 主君にすごくかわいいいとは…、身分違いの恋も甚だしいわ!!」と叫んで夜空に飛んでいった。
すごく…? 私は嬢ちゃんのせりふを反芻して、ぷっと吹いた。

それから、私はよく夜空をみあげる。あのちっちゃな主君がどこかに飛んでいないか…と。