番外編

367 名前:帰ってきたツンデレ初心者‐revenge‐ :2006/02/20(月) 14:38:07 ID:u0IPvT0E0
僕が薫と街中でデートをしていると、袖を引っ張られた。
「ねぇ、あれ」薫の指差すほうを見ると霊を背負った男がいる。
「ありゃ、なつかしいな」「ね、私たちもあんなだったのね」薫が懐かしげにつぶやく。

その霊は薄らぼんやりとして顔などはわからない。が、声は聞こえる。

――レ・・レイポンッ
――レイポンいうなっ

なんか、楽しそうだ。二人(?)はどんどん遠ざかっていく。
「絶妙ねぇ、実体化を抑えてあの男の人に負担をかけてないわ。私もああすればよかったか」薫がうんうんうなずく。
「あ」薫が怯えた声を上げて、さらにむこうを指差した。
「うあ」
そこには顔半分を包帯で覆った男がよろよろ歩いている。後ろには…なんだありゃ…。

――このままではおわらんぞー!
――だから終わりですってば

なんか、男についているでっかいモノが雄たけびを上げ、大気が揺れている。あきらかに生気を吸い取りまくっている。
だが、取り付かれてる男は困った顔しながらも楽しそうだ。


368 名前:帰ってきたツンデレ初心者‐revenge‐ :2006/02/20(月) 14:38:39 ID:u0IPvT0E0
「いろいろな形があるのね」「あ、あぁ。でもあれはかんべんな」
その声が聞こえたのかのようにもう一度、遠くのアレが吼えた。
昨日夢うつつにみたテレビ通販の「強力除霊アイテム、アブゴーストクリーナー」で祓えるだろうか?
…無理だな…

すれ違う親子の会話が聞こえた。

――おとーさん。あのね、おくのおへやに、ね。おねえちゃんがいたの
――どんなお姉ちゃんだった?
――あかいおきものきてるの。きれいなひと

お父さんが妙に懐かしそうな顔をしていた。

マクドナルドに入ると楽しそうにおしゃべりをしているカップルに目が留まった。
「あそこにもいるね」男の後ろにいる女の霊が男の髪を引っ張っている。あれは嫌がらせ…じゃないな。
「奥手の彼をせかしてるみたいね」世話焼きな幼馴染ってところかな?

隣の別のカップルの会話も聞こえてきた。

――ねえ、あのカップ、どうしてあんなボロボロなの?
――ん? ああ……昔の彼女がくれたやつを次の彼女がぶっ壊して修復した
――じゃあ……現在の彼女であるあたしが、また叩き割ってもいい?

うあ、熱い会話だなw
僕たちはそうした声を背に店を出た。
日々は悠々と過ぎていく。その中に僕らのような奇妙な出会いもたくさんあるのだろう。
これから、そういった体験をする人たちに思いを馳せながら僕たちは帰路についた。