山道にて

111 名前:本当にあった怖い名無し :2006/02/14(火) 23:11:30 ID:oTvEnxvk0
どうやら道に迷ったらしい。
行けども行けども街頭すら無い未舗装の山道。急ぐ用でもないのに近道をしようとしたのが
いけなかったのだろうか。ガタガタの道を何とも頼りないヘッドライトが照らす。
路肩にひっそりと祀られた地蔵が視界の隅を掠めていった。

「べっ別にアンタの車に好き好んで乗ったワケじゃないんだからね!」
バックミラーごしに睨みつけてくる。この十代半ばごろの白いワンピースの少女が、当たり前の
ような顔して後部座席に座り込んでいたのは地蔵を通り過ぎたあたりからだっただろうか。

「あの、洗車面倒だからボディに手形ビッシリとかは・・・」
「だっ・・・誰がアンタのこんな汚い車触るモンですか!頼まれたってお断りよ!!」
「崖手前の急カーブでブレーキ踏もうとしたら足つかむとか・・・」
「くっ・・・み、水虫うつされるのがイヤだからそんなことしないわよっ!」
「・・・('A`) あとシートで漏らしたりされると後でクリーニングが・・・」
「もら・・・・ばっばかぁ!!アレは違うんだってば!!年頃の女の子に向かって何言ってんのこの
ヘンタイ!ばかばかばかばか!」

少女は長い黒髪を振り乱しつつシートを後ろからボコボコ殴っていたが、しばらくするとただで
さえ青白い顔から更に血の気が引き、ちょっとぐったりした様にもみえてきた。
「・・・もしかして酔った?」
「だ・・・誰が車酔いなんか・・・うぷ・・・」
幽霊だからゲロなんてとか思ったがシートがぬれていた例もあるので一応車を止めることに
した。

112 名前:本当にあった怖い名無し :2006/02/14(火) 23:12:16 ID:oTvEnxvk0
「・・・お礼なんていわないからね」
その口を拭っているのは俺のハンカチなんだが。
目をこらすと鬱蒼とした木々の隙間から麓の町の明かりがちらほら見えている。もう少し走れば
まともな道に出られるだろう。
「ふん!どうせアンタみたいなどんくさいヤツはまた道間違えて山道さまようハメになるんだから!
・・・ハンカチ洗濯しといてあげるから、ちゃんと取りにきなさいよっ!」
「いや、その、今度のボーナスでカーナビでも買おうかと・・・」
「な・・・何よそれっ!ばかばかばかぁ!もう知らないっ!!!」
少女は素足のまま山道を猛ダッシュで登っていき、やがて闇に紛れて見えなくなっていった。


ってリロせず流れぶった切って投下申し訳ないorz