今あなたの後ろにいるの6

90 名前:ツンデレ初心者 :2006/02/14(火) 14:49:24 ID:skvdFfJa0
俺はどこにでもいる、普通のオタク。
俺はここ数日、謎の電話に悩まされていた。
街中を移動しているときも、大好きなギャンダムのプラモデルを作っているときも、不意に電話がなり、小さな女の子の声で
「私メリーさん、××にいるの」
とささやかれる。電話を取らなくてもどこからか必ず、居場所を告げられる。

そしてついに
「私メリーさん、いま貴方の家の前にいるの」
家にまで来てしまった。

「もう、疲れた観念しよう。」
俺はびくびくしながらドアに手をかけた。

部屋のドアを開けようとしたとき、
「こぉっっの、ばぁかちんがぁああああ!!」
唐突に頭を殴られた。
それは俺が魂を込めて作り上げた、マスター☆エイジアのフィギュアだった。

>続く



92 名前:ツンデレ初心者 :2006/02/14(火) 15:05:42 ID:skvdFfJa0
>>90 続き

「あきらめるな、抗え、戦え!!」
なんとご無体な言葉。俺はただの人間なんだよ。
「だぁから、お前はあああぁほなのだぁ!!」
なんと言われても俺はただの肝オタ。あんな得たいの知れないものとと戦えるわけないじゃないか。
そうだ、マスター☆エイジアなら俺より強いんじゃないか?
なんてったって、俺が魂を込めて作った全長120cmの特大フィギュアなんだから!!
しかし、俺の良策をマスター☆エイジアはあっさり切り捨てた。
「あまえるな、馬鹿創造主が!」
あう…、やっぱり諦めよう…
頭をうつむくと涙がほろりと落ちた。
「あ、う…、その、落ち込むな」
だって、俺、本当にどうしようもないし…
「死ぬ気で挑め」
ねぇ、助けてよ、マスター☆エイジアぁ
「豚め」
だって、俺にはマスター☆エイジアみたいに必殺技もないし…、素手でモヴィルスーツとも戦えないし…。
次第に嗚咽も混じってきた。俺ってなさけねぇ…
そんな俺をマスター☆エイジアは黙って見下ろしている。

>続く



95 名前:ツンデレ初心者 :2006/02/14(火) 15:43:54 ID:skvdFfJa0
15分ほどだろうか、ようやく、本当に諦めがついてきた。
「俺、行くわ、マスター☆エイジア。パソコンの横の観葉植物の世話、よろしくな」
「どこに行く!!」
「いや、ほら、とりあえず、当ってくだけるよ」
ドアに手をかけた。
「お、おい、こら、砕けたら駄目じゃろが!!」

♪パラ、パパッパッパン、パラ、パパッパッパン(翔べギャンダムのテーマ)♪
この場に不釣合いな着メロが流れた。
ピ☆
「私、ぜいぜい、メ…リーさん、はぁはぁ…」
…息が切れてる。どうやら、我が家の2060段の階段を上りきったらしい。俺の部屋まであと少しだ。

「もう、時間無いみたいだ。勇気(諦めともいう)をありがとう」

132メートルの長い廊下を行くとようやく、階段が見えた。
まだ、メリーさんは来ていないみたいだ。

♪パラ、パパッパッパン、パラ、パパッパッパン(翔べギャンダムのテーマ)♪

「私、メリーさん。今あなたの後ろにいるわ」
…覚悟していたが、後ろをふりむけない。

>続く

96 名前:ツンデレ初心者 :2006/02/14(火) 16:19:21 ID:skvdFfJa0
「あなた、私を殺す気?」振り向けない俺の後ろで少女の声が聞こえる。
「ごめん、俺の家大富豪なんで…」恐怖を気取られまいと、平然を装う。
「あなた、死ぬわよ」いや、殺さないでくれ。
「こっち向きなさいよ」振り向きたくなかったが自分の意思に反して、体が自然と後ろを向く。おれはしょんべんちびりそうな勢いだ。
「いい子ね…」そこにはあどけない少女がいた。俺は実は口利属性も備えている。しかし、萌えたのはそこまでだった。
(表情が欠落している)確かに笑っているのだが、感情が感じられない。怖い。逃げ出したい。
「さぁ、お逝きなさい」俺は抵抗を試みた。
「なんで俺が死ななきゃいけない!!」「理由なんてないわ、強いて言うならあなただからよ」わけわからん。
「世界にはもっと悪いやつがいる、ブッシ●とか、一級建築士とか、そいつらを殺せばいいだろ!!」
「浅ましいわね、自分が生き残れば、他人はどうでもいいの?」「ぐむっ」言葉に詰まった。たしかに俺は浅ましい。
「いいよ…好きにしなよ」
「抵抗してみる?それとも、命乞いするのかしら…え?」メリーさんはきょとんとした。
「あれ? もうちょっと生に執着しなさいよ、がんばりなさいよ」いや、もう覚悟は決めたんだし。
「さっさと殺せばいいだろ!!」ニートをなめるな。肝オタの俺にだってプライドはある。2ゲットするくらいの気概はある!!俺の気迫に気圧されたかのようにメリーさんが一歩下がった

>続く
あと、長くてスマソ

97 名前:ツンデレ初心者 :2006/02/14(火) 16:57:40 ID:skvdFfJa0
「さぁ、早く殺してみろ、どうするんだ」後ずさるメリーさん。思えば、相手は自分より数段力の弱い少女(の風体)。俺は調子に乗っていた。
(いける!!生き残れる!!)掴みかかろうとした瞬間、金縛りにあった。
「あんた、馬鹿? 私がか弱いだけの美少女と思ったのかしら」あ、いま、こいつ自分のこと美少女って言った。
「今、あなたは無抵抗。私が少し、力を加えるとどうなるかわかって?」俺はその瞬間、冷や水を浴びたように状況を悟った。
俺の後ろには2060段の長い階段。ほんの一押しで転がり落ちていくのだ。目に涙がたまっていくのがわかる。
「あはは、無様ね。そんなに涙を溜めて。覚悟を決めたんじゃないの? 死ぬのが怖いの?」俺は今度こそ覚悟を決めた。俺は…確実に死ぬ。
「その絶望が私の糧になるのよ。さぁ、怯えなさい」メリーさんは俺を見上げているのに、数段高みから見下ろされている感覚を覚える。俺の命はこの少女に握られているのだった。
「最後に残す言葉は?」やさしく俺にささやく。「ねぇよ…」俺は投げやりに言葉を放つ
メリーさんはなぜか激怒して「ぅ…、ほんっとそういったところが昔から嫌いなのよ!!」と叫び、はっと口を手で覆った。
「…昔から…?」瞬間、俺の脳裏に、手をつないで歩くポニーテールの女と目の前のメリーさんと酷似少女の姿が浮かんだ。それは小学校の時のクラスメートとその姉だった。
「…おまえ、芽理ちゃん?」俺はその少女の名前を思い出した。
いつも、気弱な自分を叱咤し、守ってくれた女の子。彼女は俺をいじめたが、他人が俺をいじめるのは許せなくて3つも年上の男の子とけんかしては勝利していた、そんな勝気な女の子…。
怖がりの俺をよく怪談で脅かしていたっけ…。
「ちがう、ちがう、ちがうもん!!」…もん?
「どうして、君が?」「知らない、知らない、あなたなんて知らない…あ…」動揺したメリーさんは、己の意思とは裏腹に俺を突き飛ばしていた。
宙を舞う俺の脳裏にうかんだのは
…交通事故にあった芽理ちゃんとその姉の葬式、12歳の出来事だった…

>続く
次回、芽理さんと肝オタとマスター☆エイジア 最終回「明日はどっちだ」
乞う、御期待!!

ホント、スンマセン。次で終わります。 

101 名前:ツンデレ初心者 :2006/02/14(火) 18:07:06 ID:skvdFfJa0
芽理ちゃんたちが交通事故にあったのは、猫を助けようと車道に飛び出した俺を、たまたま通りかかった芽理ちゃんが突き飛ばしてくれたからだ。
芽理ちゃんのお姉さん・星恵さんは妹を助けようとして、同じく飛び込んでしまった。身代わりになってくれたのだ。猫と俺のために。
俺は二人を殺してしまった。しかし、記憶とは便利なもので、あまりに、苦しい記憶は封印してくれるものらしい。
今日まで思い出せなかった。だが、記憶はなくても罪悪感がどこかにある。俺が引きこもった理由はこれか…。
芽理ちゃんには、ちゃんと俺を殺す理由があったんだな。

でも、なんで今日なんだろう? あ、今日は2月14日か。彼女たちの命日じゃん。
俺は、なぜかバレンタインデーが嫌いだった。モテナイ君のひがみかと思ってたんだが、その謎が解けちまったな。

俺は罪をしり、断罪される。でもそれは救いともいえるんじゃないだろうか。おれは妙に晴れ晴れとしながら、重力に身を任せる。
492段目…498段目…俺は階段を転げるまもなく、515段目にある踊り場まで一気に吹っ飛んでった。
(ここに、脳漿をぶちまけるのか、冥途さんたち、片付け大変だなw) 最後に、芽理ちゃんをみた。青ざめた顔で立ちすくんでる。そんな顔するなよ。恨み、晴れたんだろ?^^;

グワシャっ!!

102 名前:ツンデレ初心者 :2006/02/14(火) 18:07:58 ID:skvdFfJa0
嫌な音と衝撃が俺に響いた。しかし…
俺は生きていた。俺の下にはマスター☆エイジアがばらばらに砕けていた。
「こぉの…馬鹿ち…んが…。私たちが救った命、無駄にしちゃ…駄目だぞ☆」 あ…、この口調…星恵さ…ん!?
俺がマスター☆エイジアが好きだった理由は、妹以上に男勝りだった星恵さんの口調にそっくりだったからだったのだ。今更、気づいてしまった。

「芽理、今度はちゃんと救えたわよ。これからはあまり、この子を脅かさないようにね」星恵さんがやさしく、階段上の芽理ちゃんに語りかける。
…ん? あまり? これから? …あれ?

「ひぐぅ…、お姉ちゃん、ありがとう。この肝オタの更正は私がちゃんとするから…ひぐっ、ひぐっっ」 あれ、どういうながれ? あの、あれ? 星恵ねぇさーん!!


これが、俺が2月14日に遭遇した心霊体験だ。
いまは、俺はちっちゃいが頼りになる美少女(微妙女?)に、しごかれ(とりつかれ)ながら社会復帰の第一歩を歩み出している。

☆☆終劇☆☆

>>93 >>94 >>98 >>99さん ありがとうございました。
構成が上手くいかず、長文になったことをここでお詫びします。